内戦再び
キャプテンアメリカ:シビルウォーの原作にもなった初代シビル・ウォーに続いて、
もう一度ヒーロー内での争いが起こってしまう。
初代よりは話がすっきりしている印象。
ヴィレッジブックスの出版事業終了に伴って、(悲しい)
そういえば買ってなかったから買ってみた。
若干アマゾンでのレビューが否定寄りだったのだが、
実際読んでみて滅茶苦茶面白かった。
アマゾンレビューなどは、あくまで、初代シビルウォーと比較しての評価ということだろう。
実際、初代ほど商業的にうまくはいかなかったよう。(解説冊子より)
話の流れとしては、
- 未来を見れるインヒューマンが現れる。
- その力でヴィランが悪さしにきた時点で、被害出る前に速攻退治してた
- でもその途中、ヴィランにやられウォーマシンことローディが死亡
- ローディはキャプテンマーベルの恋人で、アイアンマンの親友
- キャプテンマーベル「ローディなら未来予知を役立てろと言うはず。この能力は引き続き利用すべき」
- アイアンマン「得体のしれない能力のせいで任務に就いたローディが死んだ。あと、敵ならいいけど仲間が悪さする未来予知があったときどうすんの?」
- キャプテンマーベルとアイアンマン、対立
- アイアンマンの予想通り、仲間や無関係の善人が予知では悪人とされ、志望者も出る。
- お互いのチームを作り、対決→痛み分け
- その後チームは解散したり、メンバーが陣営を変えたり。
- 最後にはスパイダーマンがキャプテンアメリカを手にかけるという最悪の予知が出る。
- スパイダーマンを捕えようとするキャプテンマーベル、それを止めたいアイアンマンで単騎決戦
- その予知は今作では実現せず。
- アイアンマンは死亡寸前になったが、なにやら細工を施していたようで、命に別状は無さそう。ただし意識不明のまま装置につながれている。
- 未来予知能力者は高次元の存在となり、どっか行ったため、今後その能力を判断基準として出動とかはできなくなった
実際にはもっと細かいやり取りの末、その結果になったというのが多いが、
説明してるときりがないのでカット。
まずみんな言うと思うけど、始まりはどっちが悪いとかではない。
未然に犯罪防げれば最高だ。
まずはキャロルの立場を見ていきたい。
基本的には未然に犯罪を防げるなら越したことはないよね、死んだ恋人のローディだってそうしたはずだし。という立場。
初めのうちは予知によって、被害が出ることなくヴィランを捕らえられていた。
なんならアイアンマンだって一緒に参加してた。
それはヴィランに関する予知だったからだろうけど。
だんだんとキャロルはどういう仕組みかもわからない未来予知を過信しすぎて、未遂で無関係の一般人を捕まえてたりした。
自由の国アメリカ的にはキャロルの旗色は悪いのかな?という気がした。
未来予知で未然に犯罪を防ぐ=犯罪前の拘束・逮捕というのは
やってることはキャプテンアメリカ:ウィンターソルジャーに出てきた、
ヒドラの作ったヘリキャリアに似ていると思った。
(こちらは「犯罪者が犯罪を起こす前に撃って、平和な世界を作るもの」と言っておきながら、
全員ヘリキャリアで抹殺してしまおうという、「支配」を目的とした代物だったが)
アイアンマンの立場から見ると、
得体の知れない力で、やってもいない罪で善人やヒーロー仲間を拘束・始末することを恐れていたんだと思う。
力の仕組み分からんし、ヴィランはOKだけど、仲間や善人に矛先が向くならあかんよね。しかも結果親友のローディ死んでるし許せん(怒り)という立場。
ローディの死はキャプテンマーベルとアイアンマンの対立を決定的にしたものだけど、
これって未来予知のせいなの?と思う自分がいる。
だって、ローディの死の流れって、
・ヴィランがなんかする未来予知があった
・キャロルたちと居合わせたので一緒に現場急行
・戦闘中の事故で死亡(ヴィランは確保=作戦は成功)
という流れだし、未来予知は関係なくない?
未来予知があったことによって戦闘に行ったから死んだんだ!!
という意見はそもそもおかしい気がする。
未来予知があろうがなかろうが、戦闘にはいくはずだし、
そういうのを覚悟のうえでヒーローという職業をやっているはず。
なので、アイアンマンもキャプテンマーベルもこの点についてかなり感情的なもので、
お互いの立場を決定的にしていると思った。
特にアイアンマンは顕著。
ただ、根本の考え方から対立構造ではあるので、あくまでもローディの死はきっかけに過ぎない。
アイアンマンはその後、インヒューマンズのところへ単身侵入したり、
色々無茶苦茶やって戦争寸前まで行っていて、
他のヒーローを危険にさらしているという事実。
結果的に未来予知能力者を拉致し、研究し、能力を解明。
若干拷問のような研究方法。(研究として必要なことでもあったが、怒りのやり場がここしかなかったとも思える)
結果、未来予知は完璧なものでなく、高い可能性の未来を見ているだけと判明。
つまり普通にはずれることもあるものだ=信用しすぎは危険と結論付けることができたのは良かったが・・・。
ちょっとまとめてみると、
キャプテンマーベルの悪いところ
・無実の人を犯罪者扱い
・犯してもない罪で拘束
・未来予知を絶対的なものと過信
アイアンマンの悪いところ
・感情的になり予知能力者を拉致・軽度の拷問のような研究
・上記の結果、戦争勃発寸前
今作を読む限りだと、アイアンマンのが悪いところが少なく描かれているように思えた。
きっと、初代シビルウォーではアイアンマンのが悪く映ってしまったことの挽回みたいな感じにしたかったのだろうなと思った。
初代シビルウォーではアイアンマンと対立したキャプテンアメリカが、
今回はアイアンマン側についていることからも、そんな気がする。
ただ、今作のキャプテンアメリカは滅茶苦茶静か。
なんだか、争いの行方を見守って、たまにいいアドバイスをくれるおじいちゃんっぽかった。
ちなみに作中、ハルクが暴走してヒーローを全滅させる予知がある。
これはやばいとキャロルチーム出動。
結果、事前に頼まれていたホークアイがハルクになる前にバナー博士をヘッドショット。
裁判の結果、無罪。
え、これはなんのためのシーンなん・・・?と思っていたのだが、
多分未来予知では物事の裏までは分からないよ~とうことが言いたかったのだろう。
で、タイトルのセリフについて。
一番最後のシーンなんだけど、
国防長官にキャロルがした発言。
「今までは未来を予知能力者任せにしてたけど、
そのせいで今回起きた様々なことを振り返って、
これからどうするかは人任せにせず、未来は自分で考えていきます」
という意味が籠っていると考えると、自分の中で結末としてすっきりした。
前作シビルウォーを読み直したくなりました。